相続税の概要

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1)相続税

相続手続きで、やはり極めて高い関心事といえば「相続税」もその一つですよね。

さて、当事者が遺産の分割方法を定めるうえで、相続税がどのように課税されるかについてですが、これは税務の専門家である税理士の関与も不可欠といってよいので、ここでは、相続税の概要を述べるにとどめておきます。

相続税は、相続財産の総額から、基礎控除額等を控除し、なお残額がある場合に、その残額について、一定の税率に基づき、相続税額が計算されます

基礎控除額を控除して残額がない場合には、相続税は課税されず相続税の申告する必要もありません。

 

 

 

 

 

(申告期限)

相続税の申告と申告をした相続税額の納付は、被相続人の死亡後10ヶ月以内に行う必要があります。

もし、遺産分割協議が調わない場合には、いったん未分割のまま相続税を申告したうえで、納税する必要があります。(法定相続人には、当該被相続人に係る相続税額の全額につき、連帯納付義務があります。)

遺産分割協議の解決の見通しが立たない状況にあったとしても、申告と納税を怠れば、無申告加算税(上限20%)が課されることになりますので、そんな状況でも、相続人たちは、相続税申告に関して合意をすることが求められることになります。

後に、遺産分割協議が成立して相続人の取得財産が確定した時点で、相続税の修正申告(税額が増える場合)や更生請求(税額が減る場合)を行うことになります。

 

 

 

 

 

 

2)相続税の納税義務者

相続税の納税義務者は、相続や遺贈(死因贈与、特別縁故者への分与財産を含む)により財産を取得した個人になります。

遺贈等を受けた法人は、相続税は課税されませんが、被相続人には、譲渡所得税、受贈者の法人には受贈益について法人税が課されることになります。

相続/遺贈を受けた個人⇒相続税
遺贈をした被相続人⇒⇒⇒譲渡所得税
遺贈を受けた法人⇒⇒⇒⇒法人税

 

3)相続税の課税対象

①相続や遺贈により取得した財産

金銭に見積もることができる価値あるもの全てがその対象です。

  • 物権・・・所有権、地役権 など
  • 債権・・・売掛金、貸金、借地権 など
  • 無体財産権・・・著作権、特許権 など

※質権、抵当権などの従たる権利は含まれません。

②被相続人の死亡に起因して取得される資産

①で取得した財産でなくても、被相続人の死亡に起因して取得される一定の資産については、課税負担の公平を図るため、相続や遺贈により取得した財産とみなされ、課税対象となるものがあります。

  • 死亡に伴って支払われる生命保険金損害保険金のうち、被相続人が支払った保険料に対する部分の金額
  • 死亡退職金、功労金、退職給付金等
  • 生命保険契約に関する権利
  • 定期金に関する権利
  • 保証期間付定期金に関する権利

 

 

 

 

 

 

 

 

③生前贈与財産

生前に配偶者や子などに財産を全て分け与えてしまうと、相続の開始の時には相続税の課税対象となる財産は無くなってしまいます。

相続税は、このような生前贈与による相続税の課税逃れを避けるため、生前に贈与した一定の財産を相続税に加算して、相続税を課税することにしています。

具体的には、相続開始前3年以内に贈与を受けた財産を生前贈与財産として、その価額が相続税の課税価額に加算されます。

ただし、相続開始の年に受けた贈与については、初めから相続税の課税対象とされ、贈与税は課税されません。

(1)加算対象者・・・加算の対象となる者は、その相続にかかる被相続人から生前贈与により財産を取得した者で、相続または遺贈により財産を取得した者に限られます。

(2)加算される価額・・・加算される価額は、贈与時の価額で加算されます。(相続開始時の価額ではありません)

(3)加算される財産・・・加算される財産は贈与税の課税価額に算入された財産が対象となります。

 

4)非課税財産

原則として、相続税または遺贈により取得した財産は、全て課税対象となります。しかし、財産の性質、国民感情、公益性、社会政策的な見地などから課税対象とするのが適切でない財産については、非課税財産としています。

非課税財産には次のような物があります。

  • 相続人が取得した生命保険器などのうちの一定金額
  • 相続人が取得した死亡退職金などのうちの一定金額
  • 祭祀財産である墓地、霊廟、仏壇、仏具
  • 公益事業を行う者が、相続や遺贈により取得した財産で、公益事業の用に供することが確実なもの(公益事業財産)
  • 相続財産等を相続税の申告までに国等に寄付した財産

 

5)債務および葬式費用

相続人と包括受遺者(遺産を全部または一定の割合で受けた者)は、プラスの財産だけでなくマイナス財産も引き継がなければなりません。

相続税は、正味資産税によることから、相続人や包括受遺者が被相続人から取得したプラスの財産から負担したマイナスの財産を差し引いて課税価格を計算することができます。これを債務控除といい、具体的には債務と葬式費用があります。

(1)債務・・・未払いの固定資産税や住民税、銀行からの借入金、住宅ローンをはじめとする各種ローンなど、被相続人が支払うべきであったものが控除の対象となります。

(2)葬式費用・・・葬式を行うことは、社会通念上当然のことだと言えます。したがって葬式費用は、被相続人の費用ではありませんが相続財産から負担すべきと考えられます。

しかし、この場合の葬式費用は、社会通念上妥当と考えられる範囲の費用であり、葬式にかかった費用であるとしても不相応と判断されるものは葬式費用とならず、控除することはできません。

(3)債務・葬式費用の控除対象者

債務・葬式費用の控除対象者は、相続人および包括受遺者です。したがって、相続を放棄した者および相続権を失った者は、債務や葬式費用を控除することはできません。

ただし、相続を放棄した者が遺贈によって取得した財産がある場合には、葬式費用を控除することができます。